令和3年12月の伊豆大島における公証相談
1 令和3年12月10日、大島におけるNPO法人主催の法律・税務相談会に参加した。
同日午前8時35分に、竹芝桟橋から出航するジェット船に乗って大島に向かい、翌11日午前10時15分に大島から出航するジェット船で本土に戻った。
上記相談会に参加したのは、弁護士、司法書士、税理士と本職の4名であった。
2 上記相談会は、同年12月10日午前11時から午後5時まで、大島町の施設の一室を借り受けて行われた。
3 当日は、3名から大島町内所在の家屋、土地の相続等に関する相談があった
4 本相談会への相談は、上記3件であり、最近行われた他の島の相談会への相談件数が
2桁であったのに比べ、やや低調とのことであった。
5 上記相談からは、離島における不動産の承継者確保は深刻な問題となっていることが窺われた。本土にいる相続人が、相続によって取得した不動産につき、固定資産税、修繕費の支払い、あるいは台風等の災害によって建物が吹き飛ばされ、その破片が人や物に被害を与えた場合の補償等の負担を強いられるおそれがある。
「誰も引き受けたがらない不動産」の処分については、過疎地において特に深刻な問題である。不動産所有権放棄を認めるための法律が制定されたものの、その施行は2023年と先であり、その要件も厳格であることから、即時に全面的な解決策となるかは不明である。
新宿公証役場公証人 矢野 元博