
◆これまで実施した相談会の状況
離島相談会に参加してきました
令和6年12月13日(金)午前9時30分から午後4時30分まで、東京都三宅島三宅村の三宅村役場臨時庁舎で開催されたNPO法人「司法過疎サポートネットワーク」(以下「サポートネットワーク」といいます。)主催の「無料法律税金相談会」に参加してきました。
サポートネットワークが三宅島で開催する相談会は、今回で第37回目ということで、島民の方々の生活の悩みに寄り添い、解決のための助言等を行ってきた伝統と実績のある催しです。また、サポートネットワークでは、平成13年頃から、三宅島以外にも、御蔵島、八丈島、青ヶ島、父島、母島、伊豆大島、利島、新島、式根島、神津島といった伊豆諸島・小笠原諸島の島々のほか、奥多摩地区の檜原村にも順次出向き、住民の皆様と直接に面談するという形で、今回と同様の相談会を数多く開催し続けています。
さて、今回の第37回相談会には、弁護士2名、司法書士2名、税理士3名、土地家屋調査士1名、公証人1名といった専門家が参加し、予約・飛込みを含めて合計8組の島民の方々から相談を受けたほか、公正証書遺言1通を作成しました。
住民の方々からの今回の相談内容は、遺言、遺産分割、相続登記、相続税、財産管理、任意後見契約等、親族・相続分野全般に及んだだけでなく、住民同士の対人関係に関する相談もあったようです。私も、公正証書の作成だけでなく、2組の相談に参加させてもらいました。相談会の最中には、各相談ブースにおいて、島民の方々が自分たちの悩み事を包み隠さず熱心に相談し、専門家の方々がそれに真剣・真摯に対応している様子が随所にうかがえ、長年にわたって築いてきたであろう信頼関係の厚さを感じることができました。
村役場職員の方々のお話では、高齢者、しかも、独居者の増加が相当な懸案事項となっており、それに伴い、成年後見制度・任意後見制度の需要が高くなっているということでした。サポートネットワーク元代表である弁護士も、既に島内で複数の方々の後見人となっており、上記相談時間中、島内各所を駆け回り、被後見人との面談等を実施していました。
サポートネットワークのパンフレットには、「活動をはじめた理由」として、「(前略)電話やインターネットで相談という手もあります。ただし、私たち法曹の立場からすると、これまでの具体的な事情を伺い、それに関連する資料を拝見し、適切なアドバイスをお伝えするということになると、直接面談させていただくことに越したことはありません。となると、司法過疎地の方々は、専門家に相談するにも内地(東京)まで出かけて行かなければならない。その時間的・金銭的負担は相当なものです。(中略)離島であるが故に法的サービスを受けられないというのは不平等であるし、それを解消するためには、我々の方から出向いていかなければならないと思う(後略)」との記載があります。そして、サポートネットワークの皆様は、このような思いを実践するため、三宅島の場合であれば、船で片道6時間半もの時間を掛けて東京から現地に出向き、宿舎で仮眠・朝食を取った後、島民の方々からの相談に応じていました。
私は、今回の相談会に参加させてもらい、サポートネットワークの皆様の志の高さには頭が下がりましたし、東京公証人会の広報活動に携わる身として、当会における広報活動のあるべき姿として、学ぶところが多いのではないかと感じた次第です。
大森公証役場公証人 古谷 伸彦


令和6年9月6日の神津島における公証相談
令和6年9月6日(金)に神津島で行われたNPO法人司法過疎サポートネットワークによる「無料法律税金相談会」に公証人として参加いたしました。
今回の相談会には、弁護士1名、司法書士1名、税理士3名と公証人である私の6名が参加しました。
9月5日夜、竹芝桟橋から上記NPO法人所属の弁護士、司法書士、税理士、とともに、大型客船(さるびあ丸)に乗船し、約10時間の船旅で6日朝8時50分頃神津島港に到着しました。到着後、神津島村役場を訪問し、神津島村長、総務課職員らにあいさつをした後、相談会の会場である開発総合センターに移動し、午前10時から午後4時まで相談会を実施しました。開発総合センターの研修室を相談会場とし、相談内容に応じて弁護士、司法書士、税理士らが2名~3名で相談に応じました。
今回の相談会では、4件の相談があり、私も弁護士、司法書士、税理士とともに、親の借金と相続の問題、遺言、土地の境界の問題など3件の相談に対応しました。
事前に神津島村役場のご協力を得て、役場の広報誌やホームページ、防災放送での呼びかけもお願いし、当日にも防災放送で案内していただき、事前にご相談の予約を承っていた方々のほか、当日、この相談会の実施を聞きつけて相談にこられた方もいらっしゃいました。
今回の相談会では,相談会終了後、午後4時から午後5時まで,「遺言作成と相続の豆知識」という題で無料法律教室を開催し、5名の島民の方に参加していただきました。日本公証人連合会作成のDVDを再生した後、司法書士、税理士らによる寸劇を交えた相続に関する基礎知識を解説した後、公証人が遺言の作成方法、特に遺言の必要性が高いケースなどについて解説しました。参加者はメモを取りながら真剣に聞いておられました。
また、今回は、公正証書を作成する事案はありませんでしたが、窓口となっているNPO法人に相談内容のあらましとともに離島での公正証書作成のご意向をお伝えいただければ、必要な準備をした上で、公証人が島を訪問した機会に公正証書を作成することも可能な場合があります。ぜひ,こうした公証人が離島に訪れる機会をご活用していただけますよう、お願いします。
板橋公証役場公証人 木村 匡良


令和5年11月24日の伊豆大島における公証相談
令和5年11月24日(金)に伊豆大島で行われたNPO法人司法過疎サポートネットワークによる「無料法律税金相談会」及び「相続・遺言」無料法律セミナー」に公証人として参加いたしました。上記NPO法人は、主に伊豆諸島・小笠原諸島で定期的に無料の法律税金相談会を開催してきており、大島町では2003年から延べ30回以上の相談会を開催してきたという実績のある団体です。
前日夜、竹芝桟橋から上記NPO法人所属の弁護士、司法書士、税理士、土地家屋調査士らとともに、さるびあ丸に乗船し、翌朝、大島の岡田港に到着しました。
そこから大島町役場の開発総合センターに移動し、午前11時から午後4時まで1階に設けられた小会議室等で法律相談を行いました。事前に島民の皆様に新聞の折り込みチラシ等でご案内していたこともあり、数名の方からご相談を受け、事案に応じ、弁護士、公証人、司法書士が対応いたしました。
その後、午後4時から午後5時まで、大会議室において、「相続・遺言」無料法律セミナーが開催され、最初に日本公証人連合会で制作した遺言に関するドラマを放映した後、これを素材にして、公証人が遺言等についてお話しし、次いで税理士が生前贈与に関する相続税法の改正内容について解説を行いました。
今回は、現地での公証業務の依頼はありませんでしたが、従前、この相談会で公証人が来島した機会に、事前のメール等の連絡・調整の下で公正証書作成も行ってきており、今回の島民の皆様に配布した上記チラシ等の中でも、「公正証書の作成(有料)を希望する場合には事前に(NPO法人宛)にお知らせください。」とのご案内をしていたところです。
遺言公正証書については、都内の公証役場に来ていただいて作成するほかに、今回のような相談会で公証人が来島する機会をとらえて現地で公正証書を作成する方法もあります。離島であることが、司法サービスを受ける障壁とならないように、法律の運用に携わる者が連携して積極的に情報発信し、働きかけを行っていく必要があることを、今回の大島町への訪問を機に強く感じた次第です。
新橋公証役場公証人 多和田 隆史

令和4年11月18日の八丈島における公証相談
NPO法人司法過疎サポートネットワークが主催する離島における公証業務も含む法律税務相談会が、令和4年11月18日(金)、八丈島で開催されました。
今回の相談会には、弁護士1名、司法書士1名、税理士2名、土地家屋調査士1名、そして公証人である私の合計6名が参加し、当日は、午前10時から午後4時まで、八丈島の玄関口である底土港や八丈島空港に近い三根公民館で実施しました。三根公民館は、充実した立派な施設で、相談会では、洋室会議室1部屋、和室2部屋をお借りしました。
今回の相談会では、16件16名と大変多くの方々にご来場・ご相談いただいたほか、電話によるご相談も2件2名ありました。これは、八丈町役場のご協力あってのことであり、広報誌やホームページで相談会を広報していただき、事前にご相談の予約を承っていた方々のほか、当日、町役場の防災無線によっても呼びかけを行っていただいたことで、本相談会をお知りになり、ご来場いただけた方々も多くいらっしゃいました。相談内容も、相続や賃貸借上のトラブル、税務相談など多岐に渡りました。残念ながら公証業務に関する相談案件はありませんでしたが、大変充実した相談会だったと思います。八丈町役場や三根公民館の方々に御礼申し上げます。
公証人が、こうした相談会で直接ご相談を伺い、その場で公正証書を作成するということはなかなか困難な場合が多いのですが、それでも、相談会でのご相談をご予約いただく際に、公正証書作成のご意向をお伝えいただければ、対応可能な場合も少なくないと思います。ぜひ、こうした相談会の機会をご活用いただけますよう、お願い致します。
文京公証役場 公証人 吉田 久