平成26年7月の小笠原諸島における公証相談
平成26年7月7日から同月12日までの日程で、東京公証人会所属の公証人2名が、弁護士らと共に、小笠原村の父島と母島に赴き、公証相談や公正証書の作成などを行いました。
小笠原村父島の人口約2000人、母島の人口約500人ですが、裁判所や法務局などはなく、司法サービスを受けるためには、片道25時間半の船便を利用するしかない離島です。そのため、平成13年2月から、弁護士・税理士・司法書士らで組織された「小笠原サポート専門家グループ」が、「小笠原くらしの法律税金相談・法律教室」という名称で、毎年2回の無料法律相談等を行っており、これに東京公証人会から派遣された公証人が加わって公証業務を提供してきておりました。これまでの実績は、13年間で、延577人(638件)の相談・事件処理等を行っており、事件内訳として、ほとんどが、税金関係(133件)と親族・相続関係(126件)となっています。特に、父島は、民宿等の経営者の世代交代の時期となっていて、事業継続を意図する遺言作成の需要が少なくありません。
今回作成した遺言公正証書2件は、いずれも民宿事業の継続を意図したものでした。また、法律相談2日目に、飛び込みで相談に来た女性が、近日中に離婚して父島を離れるというので、急遽、子供の扶養料支払等についての離婚給付等契約公正証書を作成しました。
杉並公証役場公証人 内尾 武博
丸の内公証役場公証人 大野 重國