令和6年2月の小笠原諸島における相談会等への参加
令和6年2月8日(木)から同月9日(金)にかけて、第45回小笠原くらしの法律税金相談・法律教室が開催されました。この相談会等は、NPO法人司法過疎ネットワークが主催するもので、平成13年から毎年2回(冬と夏)開催されてきました。東京公証人会においてもこの活動に賛同し、毎回、公証人2名が参加しています。今回の状況について、簡単に御報告します。
相談会等に参加したのは、弁護士2名、税理士6名、司法書士2名、公証人2名でした。また、今回は、出版社の記者1名も同行し、相談会等の実施状況についての取材も行われました。
相談会等は、各職種が参加する二つのグループに分かれて父島と母島でそれぞれ実施されました。実施に際しては、小笠原村の御協力も得て、小笠原村総務課が発行している「村民だより」という広報誌で紹介していただき、独自に作成した案内チラシを村役場への備え置き、社会福祉協議会及び地元の高齢者団体の御協力を得て配布するなどの方法で、その周知を図りました。
その結果、今回の相談状況は、
父島 17人で21件
母島 5人で 5件
でした。その内訳は、
相続・遺言 12件
後見関係 2件
不動産の所有権・賃貸借 3件
税金 7件
その他 2件
となっています。
この中には、事前に相談を受けた上で、公証人が父島で2件、母島で1件の遺言公正証書を作成したものも含まれています。
また、両島で行った法律教室では、日本公証人連合会が作成した「遺言は大切な人に残せる最後の贈り物」の動画を上映した上、その内容を踏まえたミニ寸劇の会話形式で遺言についての説明を行いました。その寸劇内には、聴講者に対する遺言に関係するクイズも折り込んだところ、聴講者からは非常に熱心な御回答を頂きました。この寸劇の後には、公証人による遺言と任意後見についての簡単な解説を行いました。
相談者や聴講者の中には、案件が継続しているため前回に引き続いて相談に来られた方や、過去の相談会の際に遺言公正証書を作成された方などリピーターも散見されました。また、弁護士等の士業の参加者の方は、その多くが、今回の相談会とは別に、以前の相談会で知り合った方から依頼された案件の処理に当たるなどしており、相談会等の活動が地域に浸透してきていることを実感しました。
父島は竹芝桟橋から24時間、母島は父島から更に2時間の船便しかないばかりか、竹芝桟橋・父島間の船が父島に3泊するため往復に最低6日間を要するなど、移動だけでも大変な面があります。しかし、社会が成り立っている以上は、人間関係を調整する役割の法律問題は必ず生じるものですから、今後も今回のような活動を広めていく必要性を強く感じたところです。
浜松町公証役場 公証人 田村 眞
銀座公証役場 公証人 山田 賀規