Q.遺言のないときはどうなるの?
A.遺言のないときは、民法が相続人とその相続分を定めていますので、これに従って遺産を分けることになります(これを「法定相続」といいます。)。相続人がいない場合には、国庫に帰属するのが原則です。
しかし、民法は、例えば「子及び配偶者が相続人であるときは、子及び配偶者の相続分は各2分の1とする。」というように抽象的に相続分の割合を定めているだけなので、遺産の帰属を具体的に決めるためには、相続人全員で遺産分割の協議をして決める必要があります。
しかし、誰でも、少しでも余分に、少しでもよいものを取りたいのが人情なので、自主的に協議をまとめるのは、必ずしも容易なことではありません。協議がまとまらない場合には、家庭裁判所で、調停又は審判で解決してもらうことになりますが、争いが深刻化して、解決が困難になる事例が後を絶ちません。
遺言で、妻には自宅と○、長男には□、二男には◇、長女には△といったように、各自が相続する財産を具体的に決めておけば、争いを未然に防ぐことができるわけです。
また、法定相続に関する規定は、比較的一般的な家族関係を想定して設けられていますから、これを、それぞれの具体的な家族関係に当てはめると、相続人間の実質的な公平が図れないという場合も少なくありません。