
外国向け文書の認証
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Q1.
外国に提出する文書について「この文書に公証役場で認証をもらってください。」、
「アポスティーユをつけてもらってください。」と言われました。
どういうことでしょうか(外国向け文書の認証)。 -
A.
ご質問には、①「認証」とはなにか、②アポスティーユをつけるというのはいわゆるリーガリゼーションのことですが、リーガリゼーションとはどういうことかという2つの問題がありますので、説明します。
1 認証とは
「認証」とは、文書の作成者の署名又は記名押印のある私文書(「私署証書」といいます。)について、署名や記名押印をした本人が作成した文書であることを公証人が証明する制度です。
印鑑証明制度のない外国では、その文書にサインしかありませんので、文書の受領者は誰がサインしたか分からず、そのため公証人による認証がよく利用されています。
2 認証の種類
認証には、以下に説明するとおり、いくつかの種類があります。
外国向け私文書の認証(外国語で作成された私文書だけでなく、日本語で作成され外国で使用される私文書も含みます。)の場合、提出先が求めている認証の種類がどれに当たるのか、文書を提出する国がどこなのか、認証を必要とする文書の署名者が誰なのか(会社の代表者の署名なのか、会社の代表者ではない方の署名なのか、個人としての署名なのか)等により、提出していただく書類や、公証人がする認証の様式・認証の内容が異なってきます。
我が国の認証の種類としては、次の5つがあります。
⑴ 面前署名(目撃認証)
私文書を作成した方本人が、公証人の面前で、その私文書に署名します。
公証人の認証は、「嘱託人○○○○<署名した方の名前>は、本公証人の面前で、この文書に署名(押印)した。よって、これを認証する。」というものになります。「嘱託人」とは認証を依頼した方のことです。
⑵ 面前自認(自認認証)
作成者が前もって署名(記名押印)した私文書について、署名した方本人が、公証人の面前で、自分がその私文書に署名したことを承認するものです。
公証人の認証は、「嘱託人○○○○<署名した方の名前>は、公証人の面前で、この文書に署名(記名押印)したことを自認する旨陳述した。よって、これを認証する。」というものになります。
⑶ 代理自認
代理人が、公証人の面前で、「この私文書の作成者本人が、この文書の署名・記名押印が自分の署名・記名押印であることを認めている。」と述べていただくものです。
公証人の認証は、「嘱託人○○○○の代理人△△△△は、本公証人に対し、前記○○○○が、この文書の署名押印につき、自らしたものであることを承認している旨陳述した。よって、これを認証する。」というものになります。
⑷ 謄本認証
認証を依頼する方が提出した私文書の写しについて、公証人が、その原本と対照し、符合していることを証明するものです。
公証人の認証は、「嘱託人○○○○<謄本認証を依頼した方>が提出した別紙□□<文書の名前>の謄本は、その原本と対照し、符合することを認めた。よって、これを認証する。」というものになります。
⑸ 宣誓認証
認証を依頼する方が、公証人の面前で、文書の記載が真実であることを宣誓の上、文書に署名(押印)する、又は署名(押印)を自認するものです。宣誓の方法は、依頼する公証役場にお問い合わせください。
公証人の認証は、面前で署名(押印)した場合、「嘱託人○○○○は、法定の手続に従って、本公証人の面前で、この証書の記載が真実であることを宣誓した上、これに署名(押印)した。よって、これを認証する。」というものになります。
3 リーガリゼーションとは
国際間の取引や人的交流をするには各種の私署証書を外国の政府機関や取引先等に提出しなければなりませんが、相手方において、当該文書が真正に作成されたものであることを容易に確認できる方法が必要となります。その手段として、まず、文書に記載された署名を一定の公的機関(日本では公証人)が証明し(Nortarizationノータリゼーション)、ついで、その証明者の署名や公印を別の公的機関(日本では法務局長、外務省)がさらに証明する(Legalizationリーガリゼーション)という手続が用意されています。アポスティーユ付与又は外務省による公印確認(証明)はリーガリゼーションの方法の一つであり、外国公文書の認証を不要とする条約(通称「ハーグ条約」)に根拠を有するものです。
4 リーガリゼーションの流れ(公証人による認証後)
東京都内の公証役場で、外国向け私文書の認証を受けた後の流れは、以下のとおりです。
⑴ 認証とリーガリゼーションの原則的流れ
在外公館(提出先国の日本大使館など)での認証が必要な場合や、日本と正式な国交のない国や地域(台湾などがこれに当たります。)向けの私文書の認証は、原則として、公証役場で公証人の認証を受けます。その後、公証人の認証を受けた文書を東京法務局に持参して(国交のない国や地域を除く。)、法務局長から、公証人の認証が当該公証人のしたものであることの証明を受け、次いで外務省で、法務局長の公印が間違いないことの証明(「公印確認」といいます。)を受け、その後、駐日大使館(領事館)で領事認証を受けることとなります。国交のない国や地域の場合は、公証人の認証を受けた後、当該国や地域の認証窓口機関があれば、その機関に持参することになります(例えば、台湾の場合)。
⑵ 提出先の国がハーグ条約に加盟している場合(アポスティーユ付の甲用紙による認証)
提出先の国がハーグ条約に加盟している場合、公証人作成の認証文(公文書)の作成に関して、相手国の領事認証を省略することができます。東京都内の公証役場では、外務省の「アポスティーユ(APOSTILLE)」という公印確認の付いている認証文書を作成しますので、公証人の認証を得た後、相手国の領事認証を経ずに直ちに海外の相手方に提出できます(認証ワンストップ・サービス)。
⑶ ハーグ条約に加盟していない場合(乙用紙による認証)
提出先の国がハーグ条約に加盟していなくても、東京都内の公証役場では、法務局長の証明及び外務省の証明のある認証文書を作成しますので、法務局及び外務省に出向く必要はなく、公証人の認証を受けた後、提出先の国の駐日大使館(領事館)の領事認証を受ければ足ります。
なお、甲・乙用紙によらずに公証人の認証のみを得た場合は、法務局及び外務省から、認証又はアポスティ―ユ付与若しくは公印確認を受けることになります。
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Q2.
外国向け文書の認証手続の必要書類を教えてください。
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A.
必要書類は次のとおりです。
1 認証を受ける文書の署名者が個人で、肩書を付さずに署名する場合
⑴ 署名者本人が公証役場に来られる場合(面前署名、面前自認)
🄰認証を受ける書面
🄱署名者の本人確認資料
つぎのⓐ又はⓑのいずれか一つ
ⓐ運転免許証、パスポート、マイナンバーカード、在留カードその他官公署発行の顔写真付きの身分証明書
ⓑ署名者の印鑑登録証明書(発行後3か月以内のもの)及び実印
⑵ 代理人が公証役場に来られる場合(代理自認)
🄰認証を受ける書面
🄱署名者本人の印鑑登録証明書(発行後3か月以内のもの)
🄲署名者本人から代理人への委任状(署名者本人の実印が押印されたもの)
🄳代理人の本人確認資料
つぎのⓐ又はⓑのいずれか一つ
代理人自身の
ⓐ運転免許証、パスポート、マイナンバーカード、在留カードその他官公署発行の顔写真付きの身分証明書
ⓑ印鑑登録証明書(発行後3か月以内のもの)及び実印
2 認証を受ける文書の署名者が法人の代表者で、法人代表者の肩書を付して署名する場合
⑴ 署名者本人が公証役場に来られる場合(面前署名、面前自認)
🄰認証を受ける書面
🄱署名者が法人代表者であることを証明する資料
つぎのⓐ又はⓑのいずれか一つ(いずれも発行後3か月以内のもの)
ⓐ法人登記簿謄本
ⓑ現在事項全部証明書、履歴事項全部証明書又は代表者事項証明書
🄲署名者の本人確認資料
つぎのⓐ又はⓑのいずれか一つ
ⓐ運転免許証、パスポート、マイナンバーカード、在留カードその他官公署発行の顔写真付きの身分証明書
ⓑ法人代表者の印鑑証明書(発行後3か月以内のもの)及び代表者印
⑵ 代理人が公証役場に来られる場合(代理自認)
🄰認証を受ける書面
🄱署名者が法人代表者であることを証明する資料
つぎのⓐ又はⓑのいずれか一つ(発行後3か月以内のもの)
ⓐ法人登記簿謄本
ⓑ現在事項全部証明書、履歴事項全部証明書又は代表者事項証明書
🄲法人代表者の印鑑証明書(発行後3か月以内のもの)
🄳署名者である法人代表者から代理人への委任状(上記🄲と同一の法人代表者印が押印されたもの)
🄴代理人の本人確認資料
つぎのⓐ又はⓑのいずれか一つ
代理人自身の
ⓐ運転免許証、パスポート、マイナンバーカード、在留カードその他官公署発行の顔写真付きの身分証明書
ⓑ印鑑登録証明書(発行後3か月以内のもの)及び実印
3 認証を受ける文書の署名者が法人の代表者以外の者で、役職等の肩書を付して署名する場合
⑴ 署名者本人が公証役場に来られる場合(面前署名、面前自認)
🄰認証を受ける書面
🄱署名者の法人における役職等を証明する資料
つぎのⓐからⓒのすべて(いずれも発行後3か月以内のもの)
ⓐ法人登記簿謄本、現在事項全部証明書、履歴事項全部証明書又は代表者事項証明書のいずれか一つ
ⓑ法人代表者の印鑑証明書
ⓒ法人代表者が作成し、法人代表者の上記bと同一の法人代表者印が押印された在職証明書
🄲署名者の本人確認資料
つぎのⓐ又はⓑのいずれか一つ
ⓐ運転免許証、パスポート、マイナンバーカード、在留カードその他官公署発行の顔写真付きの身分証明書
ⓑ署名者の印鑑登録証明書(発行後3か月以内のもの)及び実印
⑵ 代理人が公証役場に来られる場合(代理自認)
🄰認証を受ける書面
🄱署名者の法人における役職等を証明する資料
つぎのⓐからⓒのすべて(いずれも発行後3か月以内のもの)
ⓐ法人登記簿謄本、現在事項全部証明書、履歴事項全部証明書又は代表者事項証明書のいずれか一つ
ⓑ法人代表者の印鑑証明書
ⓒ法人代表者が作成し、法人代表者の上記bと同一の法人代表者印が押印された在職等証明書(役職者に職印がない場合は署名でも可)
🄲署名者から代理人への委任状(署名者である役職者のサンプル④在職証明書あるいはサンプル⑤在職&印鑑証明書またはサンプル⑥在職&署名証明書で確認された印あるいは署名で作成された委任状)
🄳代理人の本人確認資料
つぎのⓐ又はⓑのいずれか一つ
代理人自身の
ⓐ運転免許証、パスポート、マイナンバーカード、在留カードその他官公署発行の顔写真付きの身分証明書
ⓑ印鑑登録証明書(発行後3か月以内のもの)及び実印
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Q3.
外国向け文書の認証において注意を要する点を教えてください。
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A.
主な注意点は次のとおりです。
1 代理自認による認証でも大丈夫か確認すること
海外へ提出する書類については、代理自認が認められないこともあるようです。代理自認で認証をした後、提出先から、代理自認は不可とされて差し戻された場合、改めて手続が必要となり、手数料もかかります。そこで、代理自認で受け付けられるかどうか、あらかじめ、提出先に認証文のサンプル(Q1の2⑶をご参照ください。)を示してご確認ください。
2 認証対象文書の作成時や認証後のコピー時にホッチキスを外さないこと
認証対象文書や認証後の認証文書面をホッチキスでとめることはよくあります。このような場合に、ホッチキスを外し綴じなおした痕跡があると、提出国先の駐日大使館(領事館)や受入先で拒否される恐れがあります。
お客様がコピーやスキャンをしたい場合、ホッチキスを外さずに作業してください。
3 認証の単位を事前に確認すること
例えば、ひとつの宣言書を作成し、添付文書として、複数の文書を合綴し、一つのアポスティーユ付き認証文をつけて認証することがありますが、後日、相手方から添付文書のそれぞれについて個別の認証をもらうように求められることがあります。事前にこの点を相手方と打ち合わせておく必要があります。
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Q4.
文書の内容が真実であることを証明してもらえますか。
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A.
文書の内容が真実であることを公証人が直接証明することはできません。
公証人が「認証」することによって、その私文書に本人が署名・記名押印したことが証明され、それを通じて、その私文書が本人の意思に基づいて作成されたことが推定されます。その結果、私文書の作成者が当該文書内に記載した事実も間接的に証明されるという仕組みです。
このような間接的な証明で足りるかどうかを事前に文書の提出先に確認しておくと良いでしょう。
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Q5.
公文書の認証はできますか。
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A.
公文書自体の認証はできません。
そのため、別途お客さまの方で外国語の宣言書(Declaration)又は和文の宣言書のいずれかを作成していただき、添付書類(外国語の宣言書の場合は公文書の写しと翻訳した外国文、和文の宣言書の場合は公文書の写し)を付した上記宣言書を公証人が認証することになります。
具体的には、①「私は日本語と外国語に堪能であり、添付の書類は○○○(公文書名)の原本の写しとそれを日本語から外国語にすべて正確に翻訳した外国文に相違ありません。」という宣言書(Declaration)、又は、②「添付の書類は私(又はわが社)の何々(公文書名)に間違いありません。」という宣言書を、作成していただく必要があります。
なお、外務省で認証済の公文書が宣言書に添付されている場合、公証人はそのままでは認証することができません(1つの文書に外務省の証明が二重に含まれることは認められません)ので、当該認証済公文書の写しを添付するか、同じ公文書を再取得して添付していただく必要があります。
●英文の宣言書(Declaration)サンプルは、以下のとおりです。
●和文の宣言書サンプルは、以下のとおりです。
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Q6.
パスポートの写しの認証はできますか?
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A.
パスポートの写しは、あくまで画像にすぎず、文書の作成者の署名又は記名押印のある私文書(私署証書)ではないので、それについて認証をすることはできません。
また、日本国政府発行のパスポートは公文書なので、パスポートの写しの謄本認証もできません。
そのため、別途お客さまの方で、添付書類としてパスポートの写しを付した、「添付の書類は、私(又はわが社の社員)のパスポート原本の真正な写しに間違いありません。」という外国語の宣言書(Declaration)又は和文の宣言書のいずれかを作成していただき、その宣言書を公証人が認証することになります。
なお、上記認証を受ける際には、代理人が来られる場合であっても、必ずご本人のパスポートの現物をご持参ください。
●英文の宣言書(Declaration)サンプルは、以下のとおりです。
●和文の宣言書サンプルは、以下のとおりです。
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Q7.
卒業証明書のように文書の作成者から委任状をもらうのが難しい場合、
通常どのようにして公証人の認証をもらうのでしょうか。 -
A.
卒業証明書のように文書の作成者から委任状をもらうことが難しい場合、上記Q5と同様に、卒業証明書とその翻訳文を添付した外国語の宣言書(Declaration)、又は卒業証明書を添付した和文の宣言書を作成していただき、これを公証人が認証することが多いです。
●英文の宣言書(Declaration)サンプルは、以下のとおりです。
●和文の宣言書サンプルは、以下のとおりです。
●また、卒業証明書が英文の場合の宣言書(Declaration)サンプルは、以下のとおりです。
なお、卒業証明書を発行する学校の中には、公立(市区町村立、都道府県立等)もあり、そこが発行する卒業証明書については、外務省が公印確認をすることができます。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/page22_000552.html#05_05 -
Q8.
公証役場でサインの証明(署名の認証)をしてもらえますか。
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A.